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別れの美学 [自分が考えていること]

唐突だが、私はある大手生保の損保子会社で、名古屋の企業営業を仕事としている。

11月末で同期がまた一人辞めた。この出来事で感傷に浸る気はさらさら無いが、その別れ際に疑問があり、去る者に追い討ちをかける行為になるが、敢えて。

その前に、私の会社は規模の割には新入社員をそこまで多くは取っていない。つい5~6年前、日米経済摩擦の解消の為に始まった"保険自由化"の煽りを受け、国内生損保の合併ブームのさなかに前身の会社と親会社=生保の損保子会社とが合併、今に至っているが。その合併時から新入社員は少ない。多分、
①コストをこれ以上増やしたくない事(労働力をコストとしてみていれば、の話だが)
②業界再編時に疑問を感じた人を拾う為に、今も中途入社が多い事
③規模はどうであれ子会社な為、親会社の"受け皿"になっている事
こんな理由で少ないのだろう。で、その中で合併後の中でも比較的多い67名という総合職が入社した。今ではそんな同期も55名前後。「3年3割」という定番の離職率の中では比較的低い状態か。これは、多分比較的多い同期が全国に点々バラバラなのに横の繋がりが強い為だと思うが。そう信じたい。

で、話は戻し。ある朝、自分のメールボックスを開ければ彼からの別れのメールが。同期全員へそのメールは送られていた。その前の日比較的早く帰ったので送ったその日に見られなかったのだが、こんな文面

「11月末で辞めます。でも、有給消化してもうここには出てこなくなるので、最後に皆さんにご報告と別れを。」

返信しても向こうはもう見ないだろうし、元よりこんな内容では返す気も失くす。あれだけ色々語り合った仲なのに、何故こんな体の悪い報告をするのだろうか。

彼は多少根暗だったかもしれないが(私も人の事は言えない)、明るく人付き合いも問題無くこなす好青年であった。しかし、仕事のになれば社会人として何か欠落した面を持ち合わせていた、見た目では全くそう見えないのに。彼が最後にいた職場は、商品に関しての疑問への照会受け作業や設計等を担っていた部署、所謂"バックオフィス"というのか。彼に疑問を投げかければ、メールでは返信が遅い、電話したらその場で保留を5~10分、場合によっては数十分保留メロディーが受話器越しに流れる状態だったという"被害"報告も受けている。

一度直接会った時にその点を指摘しようとやんわりと話を振ったことがあったのだが、本人は自覚症状があり、出来る限りの改善を私に誓ってくれた。と同時に、職場のプレッシャーが強い事も一緒に訴えられたが、そのプレッシャーは他の部署でも一緒だよ、でもお前にとってマイナスの部分であれば上司と相談した方が良いよ、とアドバイスをしておいた。結果は双方とも何も変らなかったようだったが。

で、問題のメール。これだけ見ればツッコミどころ満載。なんせいなくなる当日、しかも夜遅くに報告。こちらとしては連絡のしようも無く、しかも事前に知らされていないので疎外感たっぷり。そしてそして、メールの中には「報告遅くなって、しかもこんなメールでさよならで、申し訳ない」とまで書かれている。明らかに"企て成功"である。所謂重過失ではなく未必の故意である。

腹が立った、久しぶりに人の行為に対して腹が立った。

でも逆に考えれば、こうまでして報告を計画していたのは、そこまで追い込まれていたのかもしれない。本当に信頼出来る人にしか事前に話をしておらず、また退職という行為自体が周りからすれば否定・誹謗中傷の対象になる危険性がある、と考えていれば、世間から逃げ切れる状態で計画的に逃げる、と。そうなってくると、彼の行為は会社・職場・仲間の問題として捉える事も出来よう。

もっと根本的に考えれば、彼の"欠如"部分が先天性のものであったら・・・。現代ではまだ理解されていない部分が多々ある。日常が生きられる人の中にも、生まれつきある行為だけが一向に改善出来ない人だって中にはいる。そこまでの状態ではないにせよ、周りのフォローが必要な人間であれば、フォローできなかった者にも責任があるように思えるが・・・これは考えすぎだな。

ただ、彼はちゃっかりしている。12/1付で別の会社に勤め始めるらしい。どうも噂だが、同業で。社会人としてはこれからの勤めで勝ち負け出てくるが、転職者としては一応"勝ち組"か。いずれにせよ、今後の彼の仕事人生を彼なりに頑張って欲しいし、どんな所で仕事したって勤め人として欠如している部分は順に直していっていただきたい。彼の為でもある。

人の振り見て我が振り直せ。勉強になりました。


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コメント 5

mame

松本侑子の本かと思いました。
http://homepage3.nifty.com/office-matsumoto/tankobon.htm#wakare
策略的ですかね。会社という存在が人間としての付き合いをそぐのはどうでしょうね。
by mame (2006-12-04 00:12) 

betchy

>ビーンズ
そんなに本好きの人ではないので、明らかに偶然です。はい。
「会社という存在が人間としての付き合いをそぐのは」そうでしょうね。特に最近。さらに「成果主義」が流行り始めてからは兎に角。
by betchy (2006-12-04 01:59) 

液

お久しぶりです。今週は葛西の検証で研修所へ通ってました。ヘトヘトです。
さて、久しぶりにブログを見せてもらったけど、そのネタについて書きます。

彼に初めて会ったのは、ちょうど4年前。初めての印象は、比較的静かでおとなしく、どちらかというと騒いでいる仲間の輪から「一歩引く」存在だった。ただ、彼は、業界の中での会社のブランドイメージ・認知度が低いことと、給与体系に不満があると口にしていた。そのため、世間体を気にしたプライドの高い人間だという印象も受けた。
その後、彼とは、一時寮生活を共にした。希望どおりの配属先で頑張っているだろうと思っていたのだが、課長・部長と上手くコミュニケーションがとれないと悩んでいた。新入社員であれば、みんな色々な壁にあたるさと励ましていたのだが、その後、彼は異動になった。彼のいた部署にちょうど知り合いがいて、彼の職場での評価を聞いてみたところ、どうやら業務処理能力とコミュニケーション能力に問題があるという。後者は思い当たるところがあったが、前者については意外であった。その後、どうやら異動先でも前部署と同じような評価を受けてしまったらしい。
彼が退社のメールを送る前に、彼から転職の話しを持ちかけられていた。ただ、その時は既に人事にも退職届を提出し、軽く報告的なものだった。彼に転職を決意させた理由は二つあるらしい。一つは会社の評価で大きなディスアドバンテージがあること。もう一つは会社へのロイヤリティーが湧かないないこと。後者について彼は驚くことを言っていた。「こんな会社にこの評価じゃね、まあ、俺の能力不足が原因なんだけど。」
彼の転職先での評価は、同年代の中では「並」という条件を与えてもらったらしい。大きな会社で「並」として再スタートでき、なおかつ彼のプライドについたキズも癒されるとあって、迷わず決断したという。
同じ釜の飯を食べたものとしては、彼に頑張って欲しいが、転職先でも同じ過ちを繰り返さないか不安でもある。
by 液 (2006-12-09 19:06) 

ねこ

ふんがふふ。

おいらは、そのメール直後電話して話したよ。なんか淡々としてた。

やや、否定的印象をこの書き込みで受けたし、私自身も同感ではある。
が、あるが故に少し突っ込むと、自分も彼と同じ「こんな会社にこの評価じゃね、まあ、俺の能力不足が原因なんだけど。」気持ちをもつような境遇になってしまう可能性は十分あるし、そう考えると少し怖い気もする。
会社と自分が続くとしたら、定年まで30年以上・・・。
果たしてどうなっていることやら。。。
by ねこ (2006-12-09 23:49) 

betchy

>液、ねこ
まずは、両氏に感謝。このくらいの反応があっても罰は当たらない、と思ったら、ちゃんと反応してくれた事に感謝。

>liquid room
これだけ補完してもらえれば、もう十分です。非常にありがたい。コミュニケーションの問題は人に害を与えない程度であれば、周りがフォローすればいいのだろうけど、業務処理に関してはこれはこれで色々と問題あるからね。言葉をお借りして、"転職先でも同じ過ちを繰り返さない"ように祈るだけ。
そうそう、葛西お疲れちゃん。

>ふんがふふ
・・・サザエさんだろ。
"こんな会社"で"この評価"だとしても、気付くだけマシと言うべきか、気付いても改善しないから尚更なのか。いずれにせよ、自己評価と他人評価の穴を埋める努力は、無駄にはならないと思います。ので、適度に頑張ってください。一番良いのは、どれだけ世間の評価が低かろうが、それでも自分の味方に付いてくれる人がどれだけいるか、だろうけどね。
by betchy (2006-12-12 21:32) 

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