築地の美味に酔いしれる

とある日、組合の会議を明日に控え東京に降り立つ、私。泊まるホテルにチェックイン、さて、夕飯でも、と言ったところでもう夜の２３時。周りを何となく歩いてみるも、雨は酷くなるし、店やってないし、やってても予算軽く￥４，０００Overしそうな寿司屋ばかり。

どこで何を食べようか。近くにファミレスがあるがここまで来てそれもなぁ、と苦しみながらもコンビニでの買い物を済ませたその足で向かった先は、とある一軒の居酒屋･･･

河岸頭
http://kashigashira.com/
（HP見ればすぐわかりますが、場所は東急ステイ東銀座の入り口真向かいのマンションの地下１階。看板出してるはずです）

なんとなしに階段を降り、軽く中が暗くなっている店が。中では店員らしい若いお兄ちゃんが一人ポツンと座って天井を眺めている。やってるのかな？と思いながらも「営業中」って出してるし、入ってみました。あわてて消していた電気を付け出すお兄ちゃん。後で聞いたら、どうも閉店間際だったらしい。そりゃ、木曜の夜中に突然一見客が来るなんて思わないでしょう、普通は。

結構テキトーな気分だったので、とりあえず焼酎お湯割を頼んだが、メニューらしきものは無い。「うちはメニューが無いんですよ。その代わり、その日に仕入れたもので適当に作りますので、何かあれば言ってください」･･･おっと、これは高級感漂う営業スタイル。突入自体が失敗か？

しかし、ここまで来たら引くわけにもいかない。覚悟を決めてこのお兄ちゃんと勝負する事にした。向こうからの質問も踏まえ、①まだ夕飯を食っていない②おなかの空き具合はボチボチ③そこまで酒は飲まない④ご飯はいらないの４点にてオーダー。

一品目からいきなり粋なものが。「牡蠣のオイル漬け」。美味かったのでレシピも教えてもらったが、多分自分では作れないだろう。ここからお兄ちゃんとのトークバトルが繰り広げられ･･･って、そんな事もなく、全く持って仲良くお話を進めていました。「これ、広島の牡蠣ですよ」なんてな事も言われたりなんかしたり。

何品か出してもらって、メインディッシュ。マグロのあご。あごですよ、あご。カマではありません。焼きでいただいたのだが、これがまた絶品。お兄ちゃんの言葉を借りれば、「脂身、赤身、コラーゲンの３種類の味が楽しめて、非常に美味しい部位」です。

酒も入ったせいかお兄ちゃんとのトークも盛り上がる。どうやらお歳は私より少し上との事。その歳で独立して、こんな激戦区で店を出せるのは素晴らしいですね、なんてな話も入れながら、さてお会計。「いくらだと思います？」と逆質問くらいまして。「え～・・・この場所でこれだけですから・・・￥５，０００？？」「そんなにもらったら、僕うれし過ぎますよ。これで￥３，０００で結構です」ここで詳しくメニューを紹介していないので価格感がわからないと思いますが、焼酎２杯と料理５品（マグロのあご含む）です、その場で「・・・安っ！」と言ってしまいました。

結局その店主（お兄ちゃんではなく）とお話して、次の日の会議後の打ち上げにも使ってしまい、お礼に焼酎ボトル１本入れてもらっちゃいました♪東京行くたびに通わなければ。

その店主いわく「食べたいものがあればそれを仕入れますが、日によって高いもの安いものがある。もし私に任せていただければ、その日安くて美味いものを仕入れてお出しします。お客さんも、美味いなら安い方が良いに決まってると思うので。そりゃ食べたいものがあれば、高くても仕入れますけど、とにかく安く仕入れて、安くお出しする。これが私にもお客さんにもどちらにもいいことじゃないでしょうか」

素晴らしい。皆様も近くまで足を運ぶ機会があれば、是非お立ち寄りください。